自民党の堀井学衆院議員が選挙区内の有権者に対し、秘書を通じて香典を配ったとして東京地検特捜部が強制捜査に乗り出した。堀井は大筋で容疑を認めているようで、自民党を離党した。

公選法は政治家が選挙区内で金品を贈ることを原則禁止している。香典は本人が葬儀に参列して直接渡す場合は認められるが、秘書が議員名義で持参すれば違法となる。過去にも同様の事例(香典以外に線香セットだったり)で国会議員が摘発されている。

この程度の知識(違法寄付行為)もないとは信じられない。オレですら知っている。逆に有権者側も政治家から何でももらって良いというわけではないことを、よく理解する必要がある(置いていかれたら断れないかもしれないが)。

朝日新聞はこの件を受け、「政治家の香典 金かける活動見直しを」との社説を載せた(7月20日)。内容は堀井の事例を批判するだけでなく、自民党派閥の裏金問題と絡め「自民党が責任を免れるわけではない」と、党全体の問題として批判している。どんな問題でも自民党全体の問題として「巨大化」し、全体攻撃をしたがる朝日のいつもの姿勢だ。

堀井の件は明らかな違法行為なので、かばい立てしようなどと言う気は一切無い。しかしこの朝日の社説には違和感がある。タイトルにことさら「香典」と入れているにもかかわらず、「冠婚葬祭や贈答のつきあいを当然視する政治風土をこの際、改める時でないか」などと偉そうにご高説を垂れていることだ。

こんな一陣笠議員のネタのみで社説を収めるのは、論説委員連中のプライドが許さなかったのだろう。そこで話を拡げて「金かける活動見直しを」としたが、そうすると立民の「日本酒議員」梅谷守衆院議員の件にも触れないといけなくなる。朝日はそれが嫌だったのだろう。だからタイトルに殊更に「香典」と入れたということ。

梅谷は地元のいくつもの会合で日本酒を配っている(1回だけではない、複数回)。ちなみに梅谷は日本酒を配ったことを「会合の対価」などと言い張り違法性を認めていない。選挙区内での寄付を禁じる公職選挙法に抵触するのは明らかだ。立件するかどうかは捜査機関の判断でしかない。

立民はこんな梅谷をなかなか処分せず(ずっと放っておいた)、やっとの処分は1月の党員資格停止と3月の党役職停止処分。朝日は梅谷も立民もまったく批判せず、逆に梅谷の「会合の対価という認識だったとの認識で、寄付には当たらないとの考えを示した」「公職選挙法が禁じる選挙区内での寄付行為には当たらないとの認識を示している」などと、無批判に梅谷の言い分を垂れ流している。

こんな朝日が「冠婚葬祭や贈答のつきあいを当然視する政治風土を改めろ」とか書く。何を今ごろになって言ってるんだ! 梅谷の時に言えよ。それとも朝日は、梅谷の行為は違法性がないとの認識なのか?

結局はただのダブスタ。自民党議員は批判し、立民議員はかばい擁護するということでしかない。朝日の論説委員はこういう恥ずかしい連中だということ。