衆議院東京15区の補選で、政治団体「つばさの党」なる団体の候補者とその陣営が、他候補者の演説などを妨害した行為が波紋を広げている。他候補の街頭演説に出向き、拡声器を使った大声で演説を遮った。また、他候補の事務所や自宅にまでも押しかけ大音量を流したこともあった。
一部の行為を動画で視たが、明らかにやり過ぎで異常な行動と思えるほどだった。個人的にはこれが選挙妨害でなかったら、何を選挙妨害と言うのかというレベルに感じた。
警視庁も選挙中、陣営に対し演説の妨害を禁じた公職選挙法の「選挙の自由妨害罪」に当たる可能性があるとして警告を出したほどだ。5月13日には政治団体の事務所などに家宅捜査に入り、17日に団体代表・候補者・運動員の3人を逮捕した。
逮捕時、代表は恥ずかしいほどの見苦しい態度を見せ、逮捕にビビっている情けない姿を晒していた(一部に不貞不貞しい態度としたメディアもあったが、とんでもない。ただの小心者だ)。
国会も「選挙の自由妨害罪」に対して、有権者の演説を聴く権利を重視した法令とするよう改正しなくてはいけないと思う。しかし一部メディア、具体的に朝日新聞は「表現の自由」の観点から規制強化には反対している。
朝日のずるいところは、明確に「反対だ」と書かず「規制強化は表現の自由との兼ね合いで慎重論もある」などと逃げているところだ。
この「表現の自由との兼ね合い云々」は朝日のご都合主義をよく示している。過去に朝日は安倍首相(当時)の演説が左翼活動家らにら著しく妨害された(秋葉原や札幌)際、妨害者ではなく安倍首相や北海道警を批判する「民主主義の破壊」を行った。とにかくヤジなどによる選挙(演説)妨害を「表現の自由」と徹底擁護した。
あの明らかな「選挙妨害」を「ヤジも意思表示のひとつの方法」と書いたのは、妨害者が左翼活動家だったからだ。被害者である安倍首相(当時)と一般聴衆(有権者)のことなど朝日は気にもしない。
今回の補選のケースでは、朝日推しの立民も被害に遭った。そのため朝日は社説「選挙妨害事件 自由と公正守る対応を」(5月18日)で「有権者の判断材料を奪うに等しく、表現や言論の自由として許される範囲を逸脱している」と書く。しかし同じ社説中で「演説を聞き取れなくする行為は論外としても、ヤジもひとつの政治的な意思表示である」と、左翼活動家の「ヤジ」は容認するという矛盾した論調をしている。
「(演説が聴けずに)判断材料を奪う行為は表現や言論の自由を逸脱している」が、「左翼活動家のヤジは表現の自由」だと言う。「演説を聞き取れなくする行為は論外」なら、それが拡声器だろうと大声だろうと一緒ではないのか? しかし朝日に言わせると「左翼活動家らのヤジ」は不問らしい。
結局朝日が言いたいのは、妨害者が左翼活動家の場合すべてが「表現の自由」で、被害者が朝日推しの場合は「論外」だと言うこと。
規制強化が行われた場合、「ヤジと言う名の妨害」「表現の自由に名を借りた妨害」活動が制限される恐れがある。これが朝日が反対している大きな理由だ。しかし、これはいつものことながら、朝日の浅はかさよく示している。逆のケースを考えないからだ。
ここで朝日新聞への質問です。
自民党関係者(岸田首相など)の演説会で、他の聴衆が聴けないほどの大声でヤジを飛ばす人がいたらどう記事化しますか?
1.ヤジも表現の自由なので問題なし
2.何らかの法的対策が必要だと主張する
では、朝日推しの野党関係者(立民・泉代表や共産・田村委員長など)の演説会なら?
1.ヤジも表現の自由なので問題なし
2.何らかの法的対策が必要だと主張する
まさか、自民党なら1だけど、野党なら2とか言わないよな(言うだろうが)。
ついでに、もうひとつ質問です。
小学生の学級会での議論において、他の児童が発言している最中に「大声でヤジ」を飛ばす児童がいたらどうしますか?
1.ヤジも表現の自由なので問題なし
2.他人の意見は静かに聴きましょうと注意する
議員の選挙と小学生の学級会は違うとか言いそうだが、そんなことはない。同じだ。「表現の自由」は無制限ではないからだ。「演説や話を聴く権利」の方が重んじられなければならないのは言うまでもない。「他人の権利を侵害する権利」などあるはずがない!
関連
「朝日新聞の浅はかさを示す社説」
など、多数。
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