埼玉新聞(Web版)に「埼玉と群馬の県境『空港整備』を構想」という記事を見つけた(実際のタイトルはもっと長いが割愛)。埼玉県北部と群馬県南部の両県境の「上武」といわれる地域の10市町が、広域連携による振興策、経済圏としての発展などを目指し、空港整備を構想しているという。
*上州・上野国の「上」と武州・武蔵国の「武」で「上武」
「上武連携構想」参加自治体
埼玉県 本庄市・深谷市・美里町・神川町・上里町
群馬県 前橋市・高崎市・伊勢崎市・藤岡市・玉村町
埼玉県側の幹事である本庄市長は「上武地域は非常にポテンシャルの高いエリア。この地域が直接世界に開かれ、海外と結ばれるようにしたい」と鼻息が荒い。群馬県側の幹事である前橋市長も「上武地域では高度な産業集積が行われている。エリア全体の産業力と拠点性を高めるには、航空ロジスティクスが必要」と強調する。
ただ、前橋市は先の市長選で、この発言主である市長は落選。新市長に交代した。もちろん、この「上武連携構想」が元で落選した訳ではない(だろう)から、新市長に引き継がれると思うけど。
「上武」地域を経済圏として発展させるという目標は良いと思う。同地域には意外と大企業の事業所や工場が多い。もともと関越自動車道・国道17号線といった自動車網から、上越新幹線・北陸新幹線、高崎線などの鉄道網も豊富にある。また、災害が少ない地域としても知られており、企業の本社移転など事例も散見されるようになってきている。
特に「工業圏」としてみた場合、防災・減災の含め医療・物流などの面からポテンシャルは高いのではと思う。ただ、そこから「空港」に結びつけるのには、個人的には無理があると思う。現在、国内に空港は97もある。そのうちジェット機が就航している空港(滑走路が2,000m以上)は69。狭い日本に多過ぎはしないか?
空港がある大きなメリットは、国内外への「人」の移動(ビジネス・観光)と貨物輸送。工業用途(貨物輸送)だけではたち行かない。結局は空港は「人」が大きなウエイトを占めることになる。そうすると、就航路線は確保できるのか? 便数は? などの問題が出てくる。
また、もうひとつの大きな課題は「横田空域」に引っかかるということ。関東平野の西側は米軍の管轄。中国・北朝鮮などの蛮行を考えると、米軍も妥協してくれない可能性大。そうすると航路の確保が難しい。急上昇して迂回して目的地へってなる。
また内陸に造ろうとすると「騒音問題」もつきまとう。そのためどうしても山の上ってなる(青森空港や広島空港などのように)。すると当然のことながら、アクセスが悪くなる。新規に道路作って、広大な無料駐車場も作って、前橋・高崎、本庄・深谷から専用バスを走らせてってことになる。
まあ、どこまでの実現性を「上武連携構想」参加の市町が考えているかは分からない。現時点ではあくまで「構想」だろうが、前橋の前市長は「(空港整備に向け)10市町が合意できている。スモールスタートからだんだん拡大し、期成同盟に衣替えしていきたい」と言っていた。
意気込みはいいが、事業費を算出して「誰がいくら出すの?」でもめてお終いのような気はする・・・。ネガティブなことばかり書いたが、最初に書いたように「上武」地域を経済圏として発展させるという目標は良いと思う。県の枠を超えての取り組みも頑張って欲しいと思う。
ただ、その行き着く先が「空港整備」ってのは、どうかと思う。出張などで羽田空港も成田空港も相当回数利用してきた(数百回レベル)。その経験からすると、東京駅から羽田空港まで乗り換えなしで行けたら、それで充分だと思う。
これは昨年、JR東日本が東京駅から羽田空港までの直通線を発表している(確か工事も始まっていると思った)。東京駅から乗り換えなしで、しかもたった18分で羽田空港まで行けるようになるという(開業目標は2031年)。
さらには高崎線からの直通運転も計画してると言うので、これでOK。
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