ジャーナリストを名乗る安田純平氏が、トルコからの入国禁止を理由に旅券の発給を拒否した外務省の処分取り消しを求めた裁判で、東京地裁は処分を違法として取り消した(1月25日)。
朝日新聞はこの判決を嬉々として社説で論調した。「旅券発給拒否 裁量逸脱の指摘は重い」(2月6日)。朝日は「(同氏への)制裁の意味すら伴う」と書く。つまりは人権侵害だと言いたいらしい。さらには「これ以上、自由の制約を長引かせない対応が求められる」。自由に海外に行かせろと言っている。
判決の善し悪しや、朝日論調の是非をいったん置く。ここで朝日に言いたいのは、これは第一審だぞということ。国(外務省)は控訴している。上位審で判決が変わることもあるのだから、いくら嬉しいからといって社説ではしゃぎ過ぎない方がいいぞ。
過去、朝日は一審判決で大喜びして橋下徹に「弁護士資格を返上しては」と社説に書いたことがある(「橋下TV発言 弁護士資格を返上しては」(2008年10月3日))。
山口県光市の母子殺害事件に関連して、橋下はTVで被告弁護人の懲戒請求を呼びかけたとして、被告弁護人から名誉毀損などで損害賠償請求を受けていた。その一審判決(広島地裁)で橋下が敗訴したことを受けての社説。
朝日は「判決を真剣に受け止めるならば、控訴をしないだけでなく、弁護士の資格を返上してはどうか」と書いた。これは裁判権の否定であり、三審制度の否定でもある。さらには、弁護士の資格は無いと言っているに等しい、思い上がった論調と言える。
それでも、上位審で一審判決内容で確定していれば朝日の言い分にも多少の理もあったのだろうが、最高裁で「橋下全面勝訴」と180度判決がひっくり返った(2011年7月15日)。橋下への請求はすべて棄却されたのだ。
これを受けて朝日はどうしたか? 結論から言えば、何もしなかった。橋下への謝罪も無ければ、社説が間違っていたと認めることも無かった。なんという無責任さ。これは言論機関を自称するなら許されないことだ。こんな言い放しばかりしているから、信用を無くすのだ。「捏造」「ウソ」「悪質印象操作」をしても恥じない朝日らしい。
まあ、そのせいで大阪府知事・大阪市長時代の橋下から、記者会見などで散々嫌みを言われ続けたけどね。
今回(安田の旅券裁判)も、まだ一審だぞ。裁判結果を伝える(+論調)くらいならいいけど、社説で取り上げて喜ぶのは橋下のときと同じようになる可能性もある。いくらお仲間が国に勝訴したからと言って、少しは自制した方がいいと思うぞ。
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