共産党が4年ぶりの党大会を開き、志位和夫委員長の退任と田村智子政策委員長の委員長就任の人事を決めた。志位氏は議長に就くという。朝日新聞は早速1月19日の社説(「共産党新体制 党を開く変革伴わねば」)で論調している。
社説を読む限り、朝日の「頑張れ共産党!」という想いは伝わってくる。ただ内向きな問題ばかりの指摘で、共産党が国民政党になれない本質には触れずじまいだ。また、朝日は今回の人事を「刷新」と捉えているようだが、身内びいきにも程があると言える。
田村新委員長には申し訳ないが、明らかな「お飾り」だ。志位が議長に就き小池晃書記局長が留任する人事は、「基本はオレらがやるから、あんたは対外的な顔だけな」と言っているに等しい。
田村新委員長(当時は政策委員長)はウクライナへの防弾チョッキの供与に関して「反対しない」と表明した翌日に、すぐさま「賛成できない」と見解を一転させたことがある。理由は簡単だ。志位と小池に怒られたから。こんな新委員長が党運営に腕を振るえるはずがないのは明らかだ。
そんな共産党に対し、朝日が社説内で批判したのは「民主集中制」くらいだ。これは昨年、党首(委員長)公選制的な主張を行った党員を除名したことに関連するが、全国紙で最多の共産党員数を誇る朝日記者の権利確保が目的かなと勘ぐってしまう。
朝日はまったく指摘していないが、共産党の真の問題は綱領や政策に起因する。だから広く国民から支持を集める国民政党になれない。具体的には天皇・皇室関連、自衛隊に関する考えだ。
天皇・皇室は即時廃止、自衛隊は解散が共産党の党是だ。2004年にどちらも「当面容認」する方針に転換したが、あくまで「当面」だ。解散を言っている自衛隊を都合良く「活用」するなどという考えは、多くの国民が受け入れるはずがない。
天皇・皇室を廃止し、自衛隊を解散、日米安保を破棄した日本の姿を誰が想像できよう。中国や北朝鮮が軍事面で好き勝手にやっている状況からも、あり得ない考え方だ。こうした考え・方針が国民世論と大きく乖離しているのは明らかだ。
しかし朝日はこれらの方針よりも「開かれた党」への脱皮が、より多くの国民の共感や支持を得られる策だという。ある意味、朝日らしい結論だ。結局は共産党の天皇・皇室や自衛隊への方針は、実は朝日の考えとよく合致しているということ。
朝日記者の中には、共産党員であることをまったく隠さないで記事を書いているヤツも見受けられる。個人の思想・心情まで問題視するつもりはないが、それらの記事は論評でも考察でもなく主張になっている。
極左団体の機関誌(共産党の「しんぶん赤旗」など)ならいいが、公正・公平・中立などを、建前とは言え有言している「朝日新聞」としてはどうなのか? ということ。
コメント