パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、突如イスラエルへの攻撃を開始(10月7日)。ハマスは5,000発超のロケット弾を発射。戦闘員数百人がイスラエル領内に侵入して少なくとも22ヶ所を襲い「市民を虐殺した」とされる。
イスラエルのネタニヤフ首相は「われわれは戦争状態にある」と宣言。同時に「ハマス全拠点を壊滅させる」と警告し、ガザ地区住民に即時退去を促した。
イスラエルと周辺国並びにパレスチナ勢力には、第二次大戦後のイスラエル建国(イギリスの二枚舌外交のつけ)から続く難題が立ち塞がる。なかなか日本人には理解しづらいことが多い。
ハマスはパレスチナ・ガザ地区を実効支配する武装組織。イスラエルの破壊と、その後のイスラム国家の樹立を目標に掲げている。2007年にガザ地区を掌握して以来、イスラエルと何度か交戦してきた。ガザ地区を実効支配するようになったのは、武装闘争を繰り返してきたからだ。
つまりハマスは一般的に言えば「テロ組織」でしかない。過去に「ISIL」(自称イスラム国)が、イラクやシリアの一部を実効支配して暴れ回っていたのと同様だ。現在、イスラム国はすべての占領地を失い、事実上の壊滅状態になっている。
朝日新聞もイスラエルとハマスの実質的な「戦争」開始に伴い、10月11日に社説「ガザ『戦争』 報復の連鎖 まず止めよ」で言及している。
当然ハマスを大批判しているのかと思いきや、「イスラエル軍との銃撃戦に発展する異例の事態だ」と妙なことを書く。「異例の事態」? 何を言ってるんだ。これは明確なテロ行為である。侵攻(侵略)と言ってもいい。いや、そう言うべきだろう。
朝日はハマスが民間人などを人質としたことに対し、「一般市民の殺害や誘拐は卑劣なテロ行為であり、容認できない。もし人質に危害を加えれば、国際的な孤立は必至と思い知るべきだ」と書く。ん? 一見尤もらしい言いようだが、イスラエル兵や国家機関への攻撃ならテロ行為ではないのか? それ以前に、なぜ戦闘行為を即刻止めろと書かない?
突如イスラエルに大量のロケット弾を撃ち込み戦争を仕掛けたハマスに対し、戦闘を止めて即刻撤退しろと言わない朝日。イスラエルは自衛権のある独立国家だ。それに政府には自国民の生命と財産を守る義務がある。「攻められたら無抵抗で降伏しましょう」などという朝日を含む日本の左翼連中とは違うのだ。
ところが朝日は、「(人口)密集地のガザで、民間人の被害を伴わない空爆は不可能だ。地上侵攻に踏み切れば、双方の犠牲はさらに増えるだろう」と、暗に自重しろという。確かに民間人の犠牲はあってはならないが、だったら尚更ハマスへ「即刻攻撃を止めろ」と言うべきだろう。
そして朝日は「(イスラエルの行為が)パレスチナ人を絶望の淵に追い込んだ」。それが「今回理不尽な形で暴力が噴き出した背景にあることを忘れてはならない」と書く。つまりは「イスラエルが悪いんだ!」と結論づけている。だから朝日はハマスに「撤兵しろ」とは言わず、逆にイスラエルに「自重しろ」と言う。
先に書いたように中東問題の根は深い。難しい背景がいっぱいある。だからと言って、突如戦争を仕掛けられた側(イスラエル)が悪いんだから「報復の連鎖 まず止めよ」っておかしいだろう。
こんな「反イスラエル」思想丸出しの社説を書くなら、堂々と「ハマス頑張れ!」って書けばいいのに。朝日って相変わらずバカ丸出しだな。
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