8月6日から「夏の甲子園」(全国高校野球選手権大会)が開催されている。その翌日に朝日新聞は「記録的猛暑 いまと未来の命を守れ」との社説を載せた。内容は「再生可能エネルギーがぁ~!」と「水飲んで、クーラーつけて、家にいろ」という、実に朝日らしいものだった(笑)。

さらには、猛暑中での高校野球には一切触れないという、欺瞞に満ちたものだった。
(「朝日新聞が言う『命をまもれ」』に高校野球は含まれない」)

そんな朝日が8月11日に載せた社説が「猛暑と部活動 子の安全を守るために」。内容は文科省が「運動時は子どもに十分に水分を補給させるとともに、気温や湿度などから熱中症の危険度を示す『暑さ指数』を確認し、適切に中止などを判断するよう」求めたとのことから、「測定器の配備状況は、学校や地域で差がある。公立小中学校の体育館等の冷房整備率も、昨秋で12%だ。自治体が十分な対策を取れるよう、国は財政支援を充実させてほしい」と書く。

どこか他人事な書きっぷりに釈然としないまま読み進めていくと、さりげなく「全国高校野球選手権大会も暑さ指数を測定しており、今回は五回終了時に10分間の『クーリングタイム』を導入した。一番暑い時間帯を避ける日程の改革などの検討も続いている」と入れ込んできた。

「クーリングタイム」はまだしも、一番暑い時間帯を避ける日程の改革は「検討中」であって、実現すらしてないではないか。こういうのを対策内容として、いかにも「やってます」的に書く厚かましさ。

それに「暑さ指数を測定しており」と書くが、大会本部はその値を公表していない。特に午後の時間帯の試合時にどれくらいになっているのか? 朝日は「暑さ指数」を毎試合公表する必要があるのではないか?

各地の教育委員会、教育関係者、大会運営者などには「熱中症の知識を十分身につけ、子どもの安全を第一にした対応をとってほしい」と書く朝日。そんな朝日が共催する「夏の甲子園」では、「暑さ指数」を測っていると言いながら公表すらしない。

実は朝日は地方予選が佳境に入った7月19日に、地方大会を主催する各都道府県高野連に「熱中症に注意を」との通達を出している。その中で、山梨県の取り組みを例に記している。その内容は、
・WBGT34℃以上、観測気温40℃の場合 → 中止なども含めて別途検討
・WBGT31℃以上、観測気温38℃の場合 → 水分補給などをプラス
・WBGT28℃以上、観測気温35℃の場合 → 記載省略

一般的(環境省の指針)な「WBGT」の運動指針は、
・WBGT31℃以上、観測気温35℃ → 運動は原則中止
・WBGT28℃以上、観測気温31℃ → 厳重警戒(激しい運動は中止)

一般的な指針に照らし合わせると、朝日の通達は非常に甘いことが分かる。環境省の指針ではWBGT31℃以上は「特別な場合以外は中止」を推奨しているが、朝日は「5回終了後のグラウンド整備に加え、7回終了時に5分間試合を中断し水分補給の時間を設ける」。つまりは「水を飲ませりゃいいんだろう!」ってこと。

そしてWGBT34℃(気温40℃)で、やっと「別途検討」になっている。あくまで関係者で「検討する」であって、即中止判断ではない。

この通達内容を見る限り、試合を中止することは「ほぼない」と宣言しているに等しい。つまりは、どんなことがあっても日程は予定通り消化するということ。

朝日は炎天下(酷暑・猛暑)での児童・生徒の部活の安全性を考えている振りをしながら、高校野球も対策をやってるんだアピールをする。しかしそれが対策と呼べるような代物ではなく、逆に朝日の欺瞞性を暴く結果となっている。

これらから言えることは、朝日は現状の大会日程を変更などをするつもりはないということ。この時期(夏休み、お盆期間)にやるから朝日は潤えるのだ。朝日にとって重要なのは球児の安全・健康でもなんでもなく、自らの「あがり」でしかないから。