岐阜県の陸上自衛隊・日野基本射撃場で、自衛官候補生の男(18歳)が自動小銃を発射し、自衛隊員2人が死亡、1人が重傷を負う事件が発生した。自衛官候補生は現行犯逮捕され、「教官に叱られた」などと供述しているという。
この事件に関し、朝日新聞は社説「自衛官候補生 発砲の動機 解明を急げ」で論調している(6月15日)。ただ、その内容は朝日の自衛隊嫌いが露骨に出ている、何の建設的提言もない、ある意味「ただの自衛隊批判」でしかない代物だ。
冒頭で「国の防衛のために所持が認められている武器をこのように使うことなど、決して許されない。動機の解明を急ぐとともに、教育訓練のあり方を再点検し、再発防止につなげねばならない」とは書くものの、以後は「こんな不祥事があった」「こんな事故もあった」に終始する。
そして「(岸田内閣は)安保3文書を改定し、防衛政策の大転換に踏み切った。防衛費の『倍増』を打ち出し、敵基地攻撃能力の保有など、装備の拡充に力を入れる」と、話が「専守防衛がぁ~!」や「平和憲法がぁ~!」と言っているに等しい内容になっていく。今回の事件と何の関係があるんだ?
今回の事件を機に、これでもかと政府と自衛隊批判をした極左論説委員連中が悪目立ちしただけの、中身のない社説と言えるだろう。
個人的には、この事件を自衛隊の組織論で論じるのには、明らかに無理があると考えている。報道ベースでしかないが、「教官に叱られた」などと言っているガキの問題だと思う。ひとりのガキの問題を「自衛隊の組織としての問題だぁ~!」は違うだろう。
朝日以外の主要紙も社説で論調しているが、「徹底した原因究明と再発防止を」と言うだけ。それでも朝日よりは、多少ましな内容になっている。それは「人」に関して言及しているからだ。
読売「質の高い人材を確保するためには、隊員の待遇や職場環境を改善し、採用のあり方についても見直すことが必要だろう」。
毎日「自衛隊の活動の主役である『人』を育てるための教育訓練の重要性はますます大きくなっている」(具体論はないけど)。
実は朝日とは違う意味だが、朝日並みにダメなのが産経新聞だ。「安全面の対策や事前教育はしっかり行われている。だがこれらは事故防止のためのもので、悪意の発砲を防ぐための措置ではない」「発砲が故意のものであれば、現実には防ぎようがない」。
その通りである。産経の言い分は分かるのだが、だからこそ「教官に叱られた」で小銃を乱射するようなヤツが、その場にいてはいけないのだ。「それをどうやって?」が問われている。産経は「早く訓練を再開しろ」と書くのなら、具体論を提言しないと説得力がない。
現実的にこういうガキを採用段階でふるいに掛けるのは難しい。かと言って、教育だけでどうこうなるとも思えない。難しい問題だと理解している。
厳しい訓練や規律を要する自衛隊で、ほぼすべての隊員は問題なく日々行動している。また、多くの国民も自衛隊を信頼している。こういうひとりのガキのせいで、朝日ごときに自衛隊批判のネタを与えたことは非常に残念だ。
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