朝日新聞に「議員のセクハラ 維新の対応が問われる」との社説が載った(5月29日)。日本維新の会内でセクハラ案件でもあったのかな? と思い読んでみた。すると、地域政党・大阪維新の会の話で、しかも8年前のことだという。

8年前のセクハラ案件を週刊文春が記事化し、表沙汰になった内容。当事者間や政党内部では「決着済み」だが、朝日新聞はそれを批判している。日本維新の会が朝日の推し政党である立憲民主党を圧倒し、次回衆院選では野党第一党になりそうなことから、何かあると維新を批判しているという実情がある。朝日からすれば「維新」と名の付く政党は批判の対象でしかない。

ところで、この社説は実に朝日らしい言える。「自分のことは棚にあげる」「他人に厳しく自分に甘い」「タブスタ・ご都合主義」、朝日を表す特徴的なキーワードのそろい踏みだ(笑)。

大阪維新の会の件は8年前で当事者間などでは決着済み。しかし朝日から言わせると「決着済みの過去の話だと、うやむやにすべきではない。深刻な人権侵害を防ぎ、女性の積極的な政治参加への障害を取り除いていくためにも、調査の徹底と検証が不可欠だ」。

確かに決着済みと言っても、当事者(特に被害女性側)には色々しがらみもあるだろうから、朝日の言っていることを100%否定はしない。しかし、偉そうなことを言っている朝日はどうなんだ?

5年前の2018年5月、奇しくも今回と同様週刊文春が朝日・論説委員のセクハラ疑惑を報じた。朝日(広報)は「当事者の立場や心情に配慮し、保護を優先する立場から、ご質問にお答えできない場合があることをご理解下さい」と文春に回答。

「当事者の立場や心情に配慮し、保護を優先」と言うからには、文春の記事がほぼ事実と認めたも同然だ。しかし朝日は、以後ダンマリ。皆が忘れ去るのをひたすら待つという手段に出た。

内部処罰をしたのかもしれないが、朝日は何も世間に公表せず。こんな朝日が8年前のことをネタに維新の会を批判する。おいおい、自分のことはどうなってるんだ? ダンマリでやり過ごしておきながら、他者は批判するのか?

同時期に財務事務次官(当時)のセクハラ疑惑があり、朝日は相当口汚く批判していた。その矛先は麻生太郎財務相(当時)にも向かった(直接関係ないのに)。朝日からすれば、使えるものは何でも使って、安倍内閣(当時)を批判したかったからだ。

そういう状況の中での自社疑惑なのに、完全ダンマリを決め込むとう実に清々しいほどの対応をした朝日。

8年前の大阪維新の会の対応を、現在のハラスメント感で見直し検証しろと言うなら、もちろん5年前の自社の対応を検証する必要があるだろう。これだけ社説で他者を批判するからには、当然必要なことだろう。

そうしないと、朝日が立民を応援するために維新の会を必要以上に叩くという政治的な行動だということがばれるぞ。「深刻な人権侵害を防ぎ」とか「女性の(社会活動への)障害を取り除いていくため」とか言うなら、なおさらのことではないのか?

「議員のセクハラ 維新の対応が問われる」とか言うなら、「論説委員のセクハラ 朝日新聞の対応が問われる」でもある。社説で朝日自身の取り組みを書いたらいかが。

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