ウクライナのゼレンスキー大統領がG7広島サミットに出席するため来日した(5月20日)。アラブ連盟首脳会議に出席するため電撃訪問していたサウジアラビアから、フランスの政府専用機を使用しての電撃訪日。

もちろん電撃訪日と言っても事前に調整された上でのこと。警護についても事前に参加国の増加を想定して用意していた予備部隊で対応した。警察庁は「戦争当事国の指導者で、参加する要人の中でも最も厳しい状況にある人だ。高い緊張感を持って当たる」と述べている。

ところがそんなことにはお構いなく、ゼレンスキー到着から移動に至るまでのすべてを生中継するTBS。ゼレンスキーが乗る車を上空のヘリコプターで追いかけてまで生中継した。

スパイ防止法のない日本には、ロシアの工作員が山ほどいる。「ゼレンスキーは今ここにいますよ」と、戦争相手国に逐一最新情報を提供している事実に気づきもしない。気にもしていないと言った方がいいのかもしれない。

それなのに、政治部長・後藤広と外信部長・秌場聖治が解説と称して「我々が一番注目する観点は警備」「失敗が許されない警備です。4月に岸田総理が選挙応援中、爆破物が投下されるというようなこともありました」「(沿道に人が集まっているなど)他国のセキュリティ関係者が見たらこれで大丈夫かと思うかもしれない」「日本は情報管理が甘いと見られがち。本当に大丈夫かというような疑心暗鬼というか、感想を持っていた人もいたのではないかと推測する」などと言いたい放題。

自分たちのやっていることを棚に上げて、何を好き勝手なことを言ってるんだ。ゼレンスキーの移動まで生中継する必要性がどこにある? この時点では、来日した事実とG7会議に参加するってことを伝えるだけで十分ではないか。

戦争当事国の大統領が参加することの重要性や危険性など、何も考えていない。ワイドショーが芸能人を追いかけるのと同じ感覚でやってるTBS。

なぜ政府もこんなことを許しているのか。もしTBSが「国民の知る権利がぁ~!」とかぬかすなら、お前のところのセキュリティー情報を国民が知りたいと言ったら放送するのか? とでも言ってやれ。