朝日新聞は何かというと「危機管理は最悪の事態を想定し対応策を検討するものだ」とご高説を垂れる。ところが安全保障面になると途端に「そんな想定は必要ない。対話で解決できる」などと言い出す。
時には「留学生を増やせばOK」「(日本の)価値観や文化を広めよ」と、誰もが「はぁ~?」としか言いようがないことを平然と社説に書く。特に中国が絡むと、そのバカな物言いは際限なく広がっていく。本当に分かりやすいご都合主義(ダブスタ)連中だ。
そんな朝日は中国の偵察用気球と見られるものを米国が撃ち落としたことに対し「気球への対処 慎重要する『撃墜』判断」(2月18日社説)で、米軍が撃墜した四つの飛行物体のうち三つは民生用の可能性が高い」「最初に撃ち落とした中国の気球も、風の影響でコースをはずれ、米本土に達した可能性が指摘される」と中国さまの言い分を無条件に垂れ流した。本当に恥ずかしい新聞だ。
今回、中国が米国本土に気球を飛ばしているというニュースを聞き、第二次大戦末期に日本が「風船爆弾」を飛ばしていたことを思い出した人もいるのではないか。日本も昭和19年(1944年)11月から、約1万基(個)もの風船爆弾を米国本土に向け飛ばしていた。
当時はすでに制空権を米国に握られ、本土各地が空襲の被害を受けていた。軍部がどれくらいの成果を狙っていたのかは知らないが、結果的に大きな損害を与えることはできなかったとされている。
約300基(個)が米国まで到達したとみられ、オレゴン州では6名の住民が死亡したというが、それ以外は山火事を引き起こした程度といわれる。しかし米国政府と軍は風船爆弾対策に多くの人々をさく羽目になっている。
米国が最も危惧したのは、風船爆弾に「生物兵器」「細菌兵器」(ペスト菌や炭疽菌)が搭載されていることだった。そのため米国政府は官民に厳重な報道管制を敷き、風船爆弾による被害を隠蔽した。
当然、日本はそのような生物兵器による攻撃などすることはなかった。戦争中とは言え日本にはモラルがあった(戦争というモラル無きものとの矛盾はあるが)。
戦後から現代にかけて旧日本軍の生物兵器や細菌兵器開発、また731部隊に関する様々な証言から、旧日本軍も研究・実験を行っていたことは否定しない。しかし事実関係の確認が必要なものも多い。例えば朝日が「旧陸軍の毒ガス実験」と報じたものはただの「煙幕実験」であり、明らかな誤報だ(朝日は認めていないが)。
話が少しそれたが、旧日本軍による風船爆弾は爆弾・焼夷弾しか搭載しなかった。それでも結果的に米国政府や軍部は大騒ぎになった。
旧日本軍の風船爆弾は積載量30kgで、しかも風任せだった。しかし中国の気球は積載量1トン、プロペラ付きで遠隔操縦可能である。今回は偵察用のため情報収集用・通信用のアンテナと、それらの駆動用電力を供給するソーラーパネルの搭載だったが、中国ならこれに何を積んでも不思議ではない。
何をとは、そう「生物兵器」「細菌兵器」だ。今後そういう安全保障面での懸念もあるから、米国は強硬と言われても撃墜したのだ。中国に米国の強い意志を見せる必要があるからだ。朝日は「撃墜は逆に地域の緊張を高める」などと書いたが、米国の安全保障に対する危機管理からすれば撃墜は当然のことになる。
中国は米国本土に到達するICBMを保有している。そんな中国が「気球爆弾」など飛ばす訳がないとの意見は、危機管理を甘く考える朝日的な考えだ。今回のように察知されずに米国本土に到達し、生物兵器をまき散らされたら米国は大パニックに陥るだろう(ICBMは撃ち込んだ瞬間に「最終戦争」になる)。
朝日は「地域の緊張を高める」とか「政治対話の強化を急げ」などと、安全保障意識の欠片もないこと言う。朝日は危機管理という言葉を使ってはいけない。
関連
「朝日新聞『中国さまの言うことは絶対だ!』」
「朝日新聞『中国さまの気球を撃ち落とす? とんでもない!』」
コメント