元毎日新聞記者の西山太吉氏が亡くなったそうだ。お悔やみを申し上げる。
西山は沖縄返還を巡る日米交渉に「密約」があったとする文書を「違法」な手段で入手し、懲役4ヶ月執行猶予1年の有罪判決を受けている。特に機密文書の入手方法は法的だけでなく、道義的にも許されないものだった。
そんな西山を朝日新聞は持ち上げるような社説を書いていた(「沖縄密約報道 政府の秘密体質いまも」2月28日)。
朝日は「本来なら、密約の有無こそがただされねばならなかったが、起訴状に『ひそかに情を通じ』と書かれたことで、世間は政府に真相を求めるよりも、情報の入手方法への批判が専らとなった」と書く。
密約を追求(つまりは政府を追及)するという目的があるのだから、入手方法に多少の「違法性」や「倫理観の欠如」は関係ないとでも言いたいのか? バカを言うな! それに起訴状に書かれた内容は「事実」ではないか。
朝日は一応「密約を暴いた西山さんの取材手法には問題があり」「情報源の秘匿を守れなかった事実も重い」とは書いているが、「だからといって、政府のうそが見過ごされていいわけではない」とも書く。朝日が得意の一見尤もらしく聞こえる詭弁。
関係のない2つの事柄を、あたかも関係があるかのごとく並べる。「適切(適法)な取材方法」と「取材源の秘匿」は記者にとって、最優先で守らなければならない必須事項だ。記者の倫理・モラルと言っても良い。これと「政府を追求する」という目的・動機は何の関係もない。
朝日にとって「政府を追及する」というのは「正義」かもしれないが。仮にそうだとしても「記者の倫理・モラル」と「朝日的正義の追求」とには何の関係もないことは明らかだ。
朝日は特定秘密保護法により、政府の秘密保持の体制はむしろ強化されていると言う。「モリカケ・サクラ」などは、政府内の隠蔽体質を如実に示すものだと強弁する。そして「粘り強い取材で真相に迫り、市民の『知る権利』に応える。メディアの責任の重さを改めてかみしめたい」だそうだ。
これが西山死去の報に際して、朝日が社説で言いたかったことだろう(国民ではなく左翼用語の「市民」を使っていて気持ち悪いが)。しかし余りのご都合主義的な物言いに、おもいっきり笑ってしまった。
朝日は2010年(平成22年)に発生した「尖閣ビデオ流出事件」の時、なんと社説に書いていたか。「仮に非公開の方針に批判的な捜査機関の何者かが流出させたのだとしたら、政府や国会の意思に反することであり、許されない」と書いた。
政府が「秘密」って決めたのだから、その意思に反することは許されないだってさ。 おやおや、偉そうに「市民の知る権利がぁ~!」と言っているのと大違いではないか。なんてことはない、尖閣ビデオ流出事件時は「悪夢の民主党政権」だったからだ。首相は菅直人。
自民党(自公含む)政権には「秘密保持が強化されている! 政府の隠蔽だぁ~!」と批判するが、民主党政権では「政府が秘密って決めたのだから従え」だって?
朝日得意のダブスタにしても、無責任な書き様ではないか。こういうことを恥ずかしいと思わないのが「朝日脳」のすごいところ。朝日の論説委員連中なんて所詮この程度だ。
*「尖閣ビデオ流出事件」
尖閣諸島付近で違法操業していた中国漁船が、取締中の海上保安庁の巡視船に体当たりをし逃亡を企て、それを撮影したビデオが政府の隠蔽にもかかわらず流出した事件。
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「西山太吉、自分のやったことを棚に上げるな!!」
「民主主義の危機?? 笑っちまうアホども」
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