静岡県裾野市の私立認可保育園「さくら保育園」で、園児の足をつかんで逆さづりにしたなどとして、静岡県警裾野署は元保育士の女3人を逮捕した(12月4日)。まだ抵抗も反抗・反論もできない乳幼児に対する虐待は非常に悪質である。

保育園の聞き取りに対し「しつけだった」などと釈明したようだが、呆れた言い分だ。この手の乳幼児虐待事件が起こると、多くの加害者が同様のことを言う。まったく腹が立つ。

「足をつかみ宙づりにする」「園児の頭をバインダーでたたき泣かせる」「給食を食べない園児に対し、突然後ろから頭をたたく」「泣かない園児に対し、額をたたき無理やり泣かせようとする」「園児に対しカッターナイフを見せ脅す」など、よくも「しつけ」とか言えたものだ。

暴行容疑で逮捕されるのは当然のことだろう。各紙(通信社含む)が元保育士の逮捕を速報したが(Web版)、読売新聞のみ容疑者の実名を報じていない(時間は配信時間)。
 産経新聞(11時49分) 実名報道
 毎日新聞(12時12分) 実名報道
 朝日新聞(12時25分) 実名報道
 共同通信(12時47分) 実名報道
 読売新聞(12時59分) 実名を報道せず
 時事通信(16時42分) 実名報道 (第1報かは不明)

読売新聞は「元保育士の女3人」表記で3人の年齢を報じただけ。なぜ? 何に配慮しているのか知らないが、これだけ悪質な犯罪行為に対して実名報道を回避する理由が分からない。

読売はその後16時45分、21時26分、22時35分に記事を更新したが、そこでも実名を報じていない。22時35分の更新では、それなりに細かいことまで報じているにもかかわらず。

もちろん何がなんでも実名を報道をし、世間に晒せなどと言うつもりはない。確かに虐待行為が犯罪として確定したわけではないし、起訴の段階でもない。それにしても読売だけなのには非常に違和感がある。

違和感の理由は1紙のみということもあるが、新聞メディアは事件報道時に被害者の実名報道に極端にこだわる。相模原市の障害者施設殺傷事件や京都アニメーション放火事件など、遺族が実名報道を望んでいないにもかかわらず、各紙とも実名報道に固執する姿勢を見せた。

そんな新聞メディアが、これほどの悪質な容疑者名を報じない理由が分からない。もちろん読売のみなので「新聞メディア」と括ってはいけないのだろうが。それにしても、本末転倒ではないのかと感じる。