葉梨法相の「だいたい法相は朝、死刑(執行)のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職だ」(要旨)との発言が、人命に関わる死刑を軽んじる発言として問題視され更迭(事実上)された。
会合などで何回も同様の発言をしていたらしいので、本人は初入閣の喜びともっと上位の大臣(本人が思う)に起用されたかったなどの思いからなのだろう。まあ、更迭はやむを得ないだろう。
この件で「死刑」に関する朝日新聞の「報道しない自由」を思い出した(葉梨前法相の問題とは、まったく関係はないが)。
朝日は死刑制度に反対している。それはそれで朝日の主張なのでいいのだが、その過程で必ず自分らに不都合な事実を隠す。10月29日の社説「死刑当日告知 見過ごせぬ手続きの闇」がそれ。死刑そのものに反対しながら、現行の死刑執行が当日告知なのを批判している。
当日告知は「憲法や法律に照らし、強い疑念がある」という。朝日得意の「憲法違反だぁ~!」(苦笑)。「突然、刑場へと引き立てる、人道上の懸念も大きい。余裕をもって身辺を整理し何か書き残したりする時間は、最低限許されるのではないか」だそうだ。
朝日は当日のことしか書かないが、死刑囚の確定から執行までの平均期間は「8~10年」とされる(「Q&A死刑問題の基礎知識」)。ちなみに、世間を騒がせたオウム真理教代表などの幹部7人は約12年後。刑事訴訟法では「判決確定の6カ月以内にしなければならない」と規定されているが。
余裕をもって身辺整理? 何かを書き残す時間? 10年前後もの時間があるだろう。10年もあったら何でもできるぞ。本も書けるだろう。なぜ告知を受けてから慌ててやることを想定するのか。
そして一時期行われていた前日以前の告知の事例として、「2日前に執行を伝えられた男性が(面会にきた姉・関係者らに)犯した罪への後悔や人々への感謝を口にしていた」と書く。「あらかじめ告知することで、静かに来し方を振り返り自分と向き合うことができるケースもあることを示す」。
これが朝日がこの社説で訴える「死刑当日告知」批判の主眼だ。ところが、やはり朝日は自分に都合の悪い事実(事例)は書かない。
朝日が書くように「犯した罪への後悔や人々への感謝を口にしていた」死刑囚もいる一方で、翌日執行と伝えられた死刑囚が錯乱状態になり、夜中にカミソリで手首を切って自殺した事例もある(昭和50年、福岡拘置所)。
前日以前の告知の場合、こういうケースが起こりうるのは容易に想像ができる。他人の命を奪っておいて、いざ自分の刑の執行時に錯乱するなどふざけるなと思うが、それが人間だということなのだろう。このケースにより法務省は当日告知へ戻している。
死刑執行の「当日告知」と「前日以前の告知」のどちらが良いかは、意見の別れるところだろう。議論があるのは当然のことだ。良い事例・悪い事例の両方を示した上で「前日以前の告知」とすべきだとの論で社説を書くなら分かるが、自分の主張に不都合な事例を隠して朝日は社説を書いた。
相変わらず過ぎて笑ってしまう。朝日は社説にウソを潜り込ませるもことも平気でする。不都合な事実を入れないなどは、朝日からすれば当たり前のことなのだろう。
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