兵庫県尼崎市で全市民46万人分の個人情報を紛失した問題は、委託元の尼崎市・委託先のBIPROGY社の双方ともいい加減な仕事をしていたみたいだ。結果的にUSBが見つかりデータの流出もないようだが、「良かった良かった」にはならないだろう。

報道されている事実だけでも信じられない状況だ。尼崎市は長年の慣例からか、ほぼ丸投げだったようだ。データがどう扱われていたか(USBに入れられ、持ち出されていたなど)を知らなかったと思われる。管理体制云々ではなく、管理すらしていなかった節がある。

それにしても一番呆れたのは、市職員がパスワードについて「英数字で13桁」などと構成と桁数を言ってしまったこと。解読は難しいから個人情報は漏れないということを市民に言いたかったのかもしれないが、思いっきりリテラシーのない発言だ。万が一のことを考えれば「解読は難しい部類のパスワード」とでも言うべきであった。

また、BIPROGY社の関係社員(関係会社の社員らしい)にも呆れるばかりだ。「USBにデータを入れ無許可で他所へ持ち出し」「作業終了後データを削除せず」「鞄に入れ飲み屋に行き」「泥酔し路上で寝こみ紛失」「紛失発覚後、速やかに市に連絡せず」。

こんなのヤツが公共の情報管理に携わっているとは・・・。しかも天下のBIPROGY社社員とは(関係会社だが)。ちなみに、BIPROGY社は元の日本ユニシス。

BIPROGY社は今回の件を受け「お詫び」を出している。その中で「従来より情報管理に対して教育・指導を行ってきたが」などと言っている。上記のような行動を見ると、とてもそれが行き届いていたとはいいがたい。たったひとりのバカな行動により、BIPROGY社の信用は地に墜ちた。

尼崎市民にとってはこれから大変だ。USBからの情報が漏れてなくても、今回の件をネタに詐欺行為が横行するだろう。尼崎市の市外局番に片っ端から電話をかけ、お年寄りが出たら「ニュースで事件を知っていると思いますが、あなたの口座情報が悪用されています。キャッシュカードを預からせてください」とか言われたら、それっぽいからね。

尼崎市は兵庫県警にも協力を依頼し、どう詐欺対策を行っていくか早急に検討、市民(特にお年寄り)へ周知徹底する必要がある。情報管理の対策(再発防止)も重要だが、詐欺対策の方を優先した方がいいと思うぞ。