韓国の現代自動車が日本市場に再参入すると言う。2009年に乗用車販売から撤退していたが、電気自動車(EV)・燃料電池車(FCV)に特化することで販売拡大を目指すらしい。個人的には現代自動車にもEVにも、興味も関心もまったくないのでどうでもいい。
世界的な「脱炭素化」の流れからEVへのシフトが始まっている。日本は世界有数の自動車メーカが多数あり、しかも内燃機関たるエンジンの設計・製造技術が世界一なため、EV化の流れは遅い(良い悪いは別にして)。
現代自動車が日本市場への再参入を狙うのも、今なら日本市場でEVのシェアがとれるのではと読んでいるのだろう。現代自動車は昨年12月にエンジン開発部門を廃止し、EV開発に全面切り替えを行っている。つまりは韓国国内でもEVだけで行くと表明したも同然なのだ。
実は韓国の電気料金は非常に安い。政府の方針として昔から意図的に安く抑えられている(日本の約4割の水準)。安い電気料金で国内産業を補助しているようなもの。当然、一般国民もその恩恵に浴しているが。
そのため韓国電力(国営企業)は大赤字だ。政府からの補填は当たり前。不当な政府補助により、適正な(公平な)経済競争を阻害しているとWTOあたりから言われてもおかしくない電力料金構造となっている。
こういうことから韓国国内では、安い電気料金を背景としたEVの需要は大きいのだ。事実、ガソリンより安い軽油を使うディーゼル車と比較しても、燃料代が約5分の1になると言われる。
これらのことから、韓国の「脱炭素化」は素晴らしいと考える人もいるだろう。それは否定しない。ただ先にも書いたように、韓国の電気料金は国策によって安くされている。韓国のクルマの多くがEVに置き換われば電力需要が増える。ちなみに韓国内のクルマの数は約2,500万台。
しかし韓国でも原発の増設は難しい。それどころか減らす方向に向かっている。原発(比率は約29%)は減らしていき、石炭火力(同約36%)は全廃する(文在寅はCOP26で全廃を明言、署名した)。必然的に再生可能エネルギーの比率を上げるしかない。
つまりは電力需要の増加に関係なく、エネルギー構成を考えなくてはいけない状況なのだ。そこにEV化の拡大による電力需要の増加が見込まれる。電源ミックスをどうするのか? 電力需要が増えれば増えるほど、韓国電力の赤字も増える。政府からの補填額も大幅に増える。どうする?
等々、いろいろ問題は多い。別にこれは韓国を批判しているのではなく、どうするのかなという素朴な感想。当然、日本も「脱炭素化」は考えなくては行けない問題だし、電力ミックスも同様。これを否定する気はないよ。
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