北京冬季五輪は17日間に及んだ大会の幕を閉じた。日本選手は金3個・銀6個・銅9個の計18個のメダルを獲得、冬季五輪過去最高のメダル数となった。もちろんメダルの数がすべてではなく、選手一人ひとりの頑張りは称賛に値する。

そんな中、毎日新聞が北京冬季五輪を振り返る社説を載せた。「北京五輪きょう閉幕 『公平さ』に課題を残した」(2月20日)。

毎日は「中国を取り巻く国際情勢や新型コロナウイルスの感染拡大による影響が心配されたが、大きな混乱は起きなかった」「むしろ目立ったのは、競技面でのトラブルだ」と書く。毎日がトラブルとして挙げたのは、ジャンプ混合団体でのスーツ違反の件やフィギュアスケート女子のワリエワのドーピング問題など。そして「IOCは大会を総括し、その教訓を今後の冬季五輪に生かさなければならない」だそうだ。

毎日は「大きな混乱は起きなかった」と書くが、そうだろうか? 意図的に中国の五輪政治利用に目をつむっているとしか思えない。

大会組織委の厳家蓉報道官は「新疆でのいわゆる強制労働は、意図をもつグループが作り出したウソだ」「台湾は中国の一部だ」と中国の言い分を代弁していた。明らかな五輪憲章違反の発言だ。露骨な政治的プロパガンダを大会組織委の広報官が垂れ流したことを、毎日は「問題なし」と捉えているのか?

さらには「選手は中国の法律に反する言動を取った場合、処罰の対象になる」と警告していたではないか。それに追い打ちをかけるように組織委の揚委員長は「選手は自らの発言に責任を持たなくてはならない」と圧力をかけていた。毎日はこれらのことも無視か?

中国の選手への圧力は、選手の発言の自由を奪った。もちろん、五輪憲章に反するような政治的発言は元々できないが、それ以上に中国に関すること(特に人権問題)への発言は、ほぼ封じられる結果となった。

五輪に出場するようなトップアスリートの発言は、想像以上に影響力があるため、中国も憂慮した結果が言論封じ込めのような警告や圧力だ。

毎日が「中国の五輪政治利用」にの目をつむるのは、中国が毎日にとって大スポンサーであるからだ。経営不振から潰れかかっている毎日を助けているのは中国資本である。つまりは、毎日は中国(中共)のプロパガンダ紙でしかないと言うこと。