米国が来年の冬季北京五輪の外交的ボイコットを決めた。朝日新聞が早速社説で言及している。12月8日の「五輪と政治 大国の争いと決別を」。
朝日が言うには「五輪・パラリンピックの主役はアスリートである。国家は、脇役にすぎない」だそうだ。しかし今年の東京五輪では、政府(つまり国に)に中止しろと書いたのは朝日だ。脇役の国に中止しろと言い、もし中止していたら主役のアスリートはどうなっていたのだろう?
朝日の言うことはいつもこうだ。ご都合主義。
ところで、この社説は米国に批判的なタッチで書かれている。「(米国は)中国への強腰と人権重視の看板をアピールしたいようだ」と書き、バイデンの看板アピールだと。つまりは、この外交的ボイコットは政治的思惑が主で、人権問題はアピールだと言っている。朝日らしい間接的中国擁護だ。
実はテレ朝の外報部長もまったく同じこと言い、中国を間接擁護していたのには笑える。
(「テレ朝の夕方のニュース番組のレベルの低さ」参照)
そして、この社説には朝日の思惑が見え隠れする、ずる賢いものだ。
朝日は米国に批判的に書いてはいるものの、外交的ボイコットを取り消せとは言っていない。かと言って、外交的ボイコットに賛成なので日本も賛同(追従)しろとも言っていない(朝日が中国様を批判することなどないので、当然だが)。
なぜか? 日本政府がまだ態度を決めていないからだ。
現時点で朝日が自らの立ち位置を示してしまうと、政府の対応によっては政府批判ができなくなるからだ。つまりは、日本政府が外交的ボイコットをしようといしまいと、批判できるようにしておくことが、自らの見解を書かない理由だ。
日本が外交的ボイコットをしたら、「スポーツの世界に政治を持ち込むな」とか「米国追従」などと批判できる。逆に外交的ボイコットしなければ「当然だ、米国に再考を促すべき」とか「両国の仲を取り持つよう積極的に動け」とか、好き勝手書くだろう。
まあ、東京五輪で率先してスポーツに政治を持ち込んだのは朝日なんだけど(苦笑)。
ところで、朝日はまったく書かないことがある。中国のウイグル族など少数民族に対する人権侵害(海外ではジェノサイドとまで言う報道もある)についてだ。朝日は「中国の人権問題」などと他人事のようにしか書かない。朝日はこの問題をどう考えているのか?
日ごろから何かと言うと「人権、人権!」と過剰なまでに書く朝日が、ダンマリを決め込んでいるのは、中国さまへの忖度以外の何物でもないだろう。朝日は中国が「人権侵害」を行っていることを、まずは認めよ。その上で、北京五輪に対する見解書け。
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