朝日新聞11月20日の社説「経済対策 今なぜ過去最大なのか」は、政府の経済対策(財政支出)が55.7兆円と過去最大となることを批判している。

コロナ禍により冷え切った国内経済を立て直すための支出と考えれば、経済対策費が膨らむのはやむを得ないと思う。しかし朝日は「足許の感染は抑えられている。なぜ巨額の対策が必要なのか?」だそうだ。

政府のやることなら「何でも反対」の分かりやすさ。

朝日は社説中で再度の現金給付(住民税非課税世帯や18歳以下の子ども)やマイナンバーカードへのポイント付与、中小企業への最大250万円の現金給付を批判している。そのくせ留学生への10万円給付に関しては、好意的に書いていることには笑えるが(別記事だけど)。

もちろん当を得た批判ならかまわないのだが、そうでないところが朝日らしいところ。なぜかと言うと、朝日は過去に再給付を促すような記事を乱発しているからだ。

「『給付金』を含むツイート数は、今年に入って再び急増。つぶやきをたどっていくと、コロナ禍の現実に苦しむ人たちの、抑えきれない思いが見えてきた」(3月4日)、「貸し付けでなく10万円再支給をとの声が大きい」(3月9日)。

そして極めつきは11月24日の社説「ガソリン補助 ほかのやり方はないか」である。ガソリン価格の高騰に対し政府が補助金を出すことを批判している。そして、別の方法として「燃料費の負担が重い遠洋漁業や運輸などの小規模業者や所得の低い人に絞って、支援策を充実させればいい」。

つまりは、あっちではなくこっちに給付しろと言ってるだけのこと。

なんてことはない、政府の経済対策としての給付には反対しているのに、朝日が偉そうに言う「ほかのやりかた」も給付しろだそうだ。バカな新聞だ。4日前に何を書いたかも覚えてないのか?

給付に反対しているのではなく、給付先に反対しているのだとの反論が聞こえてきそうだが、じゃあ過去記事はどうなんだということ。給付金を出せば出したで批判し、出さなければ出さないで批判する。新聞記者なんてお気楽な商売の代名詞と言える。

最後にひとつだけ、朝日の記事内容を評価しておく。11月20日の社説中で「安易に減収を補填すれば、本来市場から退出するべき事業者まで救済しかねない」と書いている。これは至極正論だ。

正論なんだが、実は朝日が書いてはいけない。朝日は過去に「本来市場から退出するべき事業者」の倒産を「コロナ倒産」と煽り、政府批判に使っていたからだ(2020年4月)。当時は朝日の仇敵・安倍首相だったから、なりふり構わず何でも批判に使っていた。その場その場で政府批判をしていた結果、後になってみな特大ブーメランになっている。

少しは賢くなれよ。