朝日新聞は9月12日の山梨県版、及びWeb(デジタル)版配信の「ツキノワグマ遭遇 思わずパチリ」(Web版見出しは「富士山の景勝地付近にツキノワグマ 登山の女性、枝折れる音で気づく」)との記事を取り消した(9月14日付け)。
元記事は山梨県富士吉田市の新倉山浅間公園の近くで、今年の7月30日に登山中の女性がツキノワグマに遭遇。その女性が撮影したというクマの写真を掲載。同公園は平日でも1日約300人が訪れる富士山の景勝地。女性は「公園の上はクマの生息地。登山の時は注意して」と呼びかけている(概略)というもの。
朝日が同記事を取り消した理由は、「掲載した写真はクマに遭遇したという人が撮影したものとして提供を受けましたが、朝日新聞が過去に長野県から提供を受たけて配信した写真と同一であると判断しました」(朝日Web版から)。
その上で朝日は「掲載にあたり、確認が不十分でした。読者のみなさまと長野県におわびするとともに、今回掲載した写真と記事を取り消します」としている。
「確認が不十分でした」? これって単純な「誤報」なのだろうか? 疑問点ばかりだ。
女性は「枝のポキポキ折れる音」で50m先のクマに気づき、スマホで写真を撮ったという。紙面の写真(上の写真)は実に良く撮れている。慌ててスマホを取り出し撮ったにしては・・・。
50m先のものを撮るには相当ズームアップしないといけない。「クマだ!」という状況下、拡大してピント合わせてって、相当落ち着いている人だ(苦笑)。
この記事を書いたのは富士吉田支局・河合博司記者。実はこの河合記者は富士吉田支局に異動前は、朝日の写真部に30年も在籍していた(カメラマンかは不明)。それなりに写真には詳しいはずだ。良く撮れ過ぎとは思わなかった?
その女性(実は日本在住の外国人女性)は、なぜ長野県が朝日に提供した「クマの写真」を持っていたのか?
写真データのやりとりは何で行ったのか? メール添付? メディア(SDカードなど)?
どう考えてもおかしなことばかり。
河合記者が提供を受けた写真は本当は何だったのか? 河合記者が写真をすり替えていないか? つまりは写真を捏造したのではないか?
それ以前に、この外国人女性は本当にクマと遭遇したのか? さらに言えば、この女性は本当に存在するのか? 身バレしづらくするため、わざと登場人物を外国人女性に設定したのではないか? つまりは記事を捏造したのではないか?
朝日は「写真の提供者に確認したところ本人が撮影したものではなく、過去に長野県から提供を受けた写真と確認された。なぜ間違えたのかはわからない」としている。
この文章は朝日が都合が悪くなるとよく使う文体だ。「主語」を書かないでぼかす。間違えたのは誰なのか? 外国人女性なのか? 河合記者なのか? また、間違えたとされるのは何を間違えたのか? 掲載する写真を間違えた? それなら、河合記者は「長野県提供のクマの写真」をどこから手に入れたのか?
写真部に30年も在籍していた河合記者なら、どこを探せば何が出てくるかなんて、よぉ~くご存じではないのか? なんて考えてしまう。
疑問は尽きない。
朝日は記事を取り消し「読者と(写真提供者の)長野県におわびします」としている。しかし一番被害を受けたのは富士吉田市だ。
富士吉田市は「新倉山浅間公園は市のシンボルだ。今回の記事は、読者に危険な地域としての印象を持たせるだけでなく市民の不安も煽る内容で、確認しないまま取り上げる姿勢に対して大きな憤りを覚える(概略)」とし、朝日に抗議文を出し謝罪と経緯の説明を求めている(現在朝日はコメントしていない)。
朝日は過去に何も無いところから記事を作ったことがある。有名な「100円ラーメン捏造記事」(広島県版)だ。この捏造記事では存在しないラーメン店の女性店主が登場し、店主はコメントまで発していた(政府批判)。さらには、記者手作りの小道具まで使っていた。
それを考えれば、存在しない外国人女性が登場し「クマに気をつけて」とコメントしても不思議ではない(政府批判でないところは朝日らしくないが)。また、元写真部のベテランが社内から「クマの写真」を調達するのも、至極簡単なことだろう。
架空の登場人物と小道具(写真)の2つが揃えば、朝日お得意の捏造記事の出来上がり。とか言うのは、言い過ぎかな。
こういう想像が拡がらないためにも、朝日は富士吉田市が求めている「経緯の説明」を、ウソ偽りなくきちんとすべきである。こういうところで、朝日が過去の捏造を反省しているかが試されることになる。
関連
「朝日新聞の『100円ラーメン』捏造記事」
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