朝日新聞が言う「民意」とは、朝日にとって都合が良いか悪いかで決まる。そんなことを思い起こさせるのが4月5日の社説「都構想と維新 『否決』の重み忘れるな」だ。

内容は「大阪維新の会」が大坂府と大阪市で「一元化条例」と称する広域行政における二重行政(成長戦略や都市計画など)の解消を目的に、市から府へ委託できるようにする条例を成立させたことを批判するもの。

2度にわたり否決された「大阪都構想」の簡易版だとし、「今の行政の枠組みを変えることは、基本的に認められない」。そして「住民投票で示された『民意』に誠実に向き合う。それこそが政治の基本だ」と批判する。

朝日が大阪府・市の行政の在り方について、どう考えていようが興味もないしどうでもいい。しかし朝日が「民意」という言葉を使うと、途端に胡散臭くなってしまう。朝日の言う「民意」とは、朝日にとって都合が良いか悪いかで決まるからである。

安倍総裁時の自民党は衆院選・参院選で大勝の連続であった。しかし朝日は、この国民の「民意」を一切認めなかった。「投票率が低かった」「自社の世論調査結果と違ってる」「選挙制度が悪い」など、余りにも中身のないバカらしい理由でだ。さらには「民意は数の多寡だけで はかられるべきものではない」とまで言っていた。

特に2014年の衆院選では、自民党が大勝したにもかかわらず「投票率が低かったからこんなの民意じゃない」と書いた同じ紙面で、沖縄県では4選挙区すべてで自民党候補が敗れたことを「これが沖縄の民意だ」と書いた。

しかし投票率の全国平均が52.66%なのに対し、沖縄県は52.36%で全国平均より低いという支離滅裂さ。そんな朝日が「民意に向き合うのが政治の基本だ」と言う厚顔さ。呆れるしかない。

自民党はずっと「改憲」を公約に掲げ衆院選・参院選で連勝(しかも大勝)している。これを素直に考えれば「改憲」は「民意」を得たことになる。しかし朝日はこの「民意」を絶対に認めないだろう。それは朝日にとって都合の悪い「民意」だからだ。

2009年の衆院選で民主党(当時)が大勝し政権を得た際、朝日は「民意の雪崩」と狂喜乱舞して書いていた。ところが、その後はすべて自民党が大勝してしまい、国政選挙では「朝日的民意」の出番がまったくなくなってしまった。

その反動か、沖縄などの地方選では相変わらず「これが民意だぁ~っ!」と、国政の鬱憤を晴らすかのごとく大騒ぎする。しかし騒げば騒ぐほど、その論調のご都合主義をさらけ出す結果となっている。

今回も同様だ。国会で自公寄りの姿勢をみせる「維新の会」を嫌う朝日が、その地方組織(政党)の「大阪維新の会」のやることを批判するのは当然の政治姿勢だろう。だからと言って、朝日が「民意」などと言う資格がないのは明らかだろう。

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