同性婚を求めるカップルが国を訴えた裁判で、札幌地裁は婚姻に関する民法・戸籍法の規定が同性婚を想定していないことが直接的に憲法24条に違反するものではないとの判断を下し、原告の主張を全面的に棄却した。
その一方で、婚姻によって生じる法的効果を同性愛カップルが享受できないことは、14条の「法の下の平等」に違反するとした判決を出した(3月17日)。
この判決に関して朝日新聞は3月18日の社説「同性婚判決 『違憲』の解消を急げ」で、「評価できる」と歓迎の意を表した。そして「国会と政府は不平等の解消に、ただちに乗りださなければならない」と書く。さらには「これ以上手をこまぬくのは、差別に加担し偏見を助長するのと同じだ」と、ヘイトだとまで。
つまりは「早く同性婚を法的に認めろ」と主張しているわけだ。まあ、朝日がどう主張しようが構わないけど。ただ、朝日お得意のご都合主義、ダブスタ炸裂だけど(苦笑)。
日本国憲法24条で「婚姻は両性の合意のみに基いて成立し(後略)」と規定されていることを考えると、同性婚を認めるためには「憲法改正」が必要と考えるのが普通だ。
一部には、男性と女性の「異性婚」が両性の合意のみに基づいて成立することを示しているにすぎず、同性婚を禁止した条文ではないとの意見があるが、明らかな詭弁である。
仮に憲法改正をせずに、民法や戸籍法でのみ同性婚を可能にする法改正を行ったとしても、必ず「違憲」との批判が起こるだろう。現行の9条に基づく「自衛隊違憲論」みたいなものだ。国策(国防)の根幹を成す自衛隊と、個人の性的嗜好の域を出ない同性婚を同等に扱う事には違和感があるが、どちらも「憲法改正」が筋だと思う。
朝日は「憲法とは、国民の側から国家権力を縛る最高法規である。行政府の長の首相が改憲の旗を振ること自体、立憲主義にそぐわない」と、安倍前首相が9条に自衛隊を追記する改正を目指したことを批判した(2018年5月3日)。
また、集団的自衛権の行使を認めた「安保法制」に関しても、「違憲の疑い」があるとバカ騒ぎをした。菅首相就任時の社説でも「安保法5年 『違憲』継承は許されぬ」で、「統治権力は憲法に縛られるという立憲主義をないがしろにした」と批判している(2020年9月9日)。
朝日は政府に同性婚を認めるよう乗り出せと書く。行政府が憲法改正を言い出すのは立憲主義に反するのではないのか? また、憲法改正せず戸籍法や民法の改正のみで済ませたら、「違憲の疑い」がある改正は「立憲主義をないがしろにする」のではないのか?
自らのイデオロギーと合わないと「立憲主義に反する」ことでも、イデオロギーと合えば「早くやれ」。こんなご都合主義・ダブスタはないだろう。
朝日は「早くやれ」と言うなら、明確に「憲法24条の改正」を主張しないといけない。それなしに「解釈改憲」で民法や戸籍法を改正しても、朝日が過去から主張している「違憲の疑い」が否定できない改正は、立憲主義をないがしろにしたとの自らの主張との整合性が取れない。
まあ、こんなことは気にしないのが朝日が朝日たる所以なんだけど。それにしても、論説委員連中の頭の中はどうなってるんだか。
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