朝日新聞7月7日の社説「石炭火力削減 温暖化防ぐ道筋を描け」は、相変わらず現実を見ない朝日の「お花畑論」である。きれい事(理想論)を言うのは簡単だが、現実世界はそんなに甘くないという典型である。

経産省が「国内140基の石炭火力のうち、効率の悪い114基の旧式施設を2030年度までに段階的な休廃止を促す方針」を示したものの、「日本は資源の少ない国であり電源のベストミックスが必要だ。一つ一つの電源を放棄できない」(梶山経産相)ことから「高効率の石炭火力の建設や運転は認める」ことを、朝日は批判している。

朝日の言いたいことは「旧式の石炭火力を高効率型に更新するのではなく、再エネに置き換えていくことこそ求められる。原発もCO2を出さないが、事故のリスクをなくすために将来はゼロをめざす必要がある。それまでに再エネの拡大を急ぐべきだ」

つまりは「原発ゼロ」「石炭火力ゼロ」で、それを「再生可能エネルギーで代替え」と言うこと。朝日の言い分なので別に構わないけど、「再エネで代替え」がいかに非現実的なことを言っているかは過去に批判した。
(「朝日新聞の『再生可能エネルギーがぁ~!』を笑う」参照)。

朝日の理想論に絶対的に欠けているものは「安定供給」と「適価」だ。朝日は何か言うとドイツを引き合いに出すが、ドイツが原発大国のフランスから電力を購入(輸入)していることは報じない。再エネを増やせば安定供給に支障がでる。それをフランスからの購入で防いでいるのがドイツの実態だ。

電力の適価で安定供給なくして、社会基盤である産業を支えることは出来ない。そのためには安全確認の済んだ原発の再稼働も含め、電源ミックスを判断する必要がある。

朝日は「原発嫌だ」「石炭火力嫌だ」でもいいけど、じゃあどのように電力の供給(電源ミックス)を考えているのかは絶対に示さない。示せないのだ。「再生可能エネ」がメイン電源になり得ないことは、朝日だって百も承知のことである。

つまり朝日は実現不可能な「理想論」を持ち出し政府批判を行い、あわよくば世論を誘導しようという非常に悪質な手法をとっているのだ。本気で「再エネ」をメインにできると考えているなら、それはそれで笑うしかないけど。