世界文化遺産に登録された長崎県の端島(通称軍艦島)などの「明治日本の産業革命遺産」の説明施設である「産業遺産情報センター」が、6月15日から一般公開されている。

その中で、父が端島炭鉱で働いていたという在日韓国人2世の元島民のインタビューが紹介されている。「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」。

これに対し朝日が早速「軍艦島元島民『徴用工差別、聞いたことない』施設でで紹介」との見出しで、韓国へのご注進記事を書いている(署名は太田成美)。記事中にはお決まりの「韓国が問題視する可能性もある」。

まあ、いつものこととは言え苦笑を禁じ得ない。

朝日は2015年5月8日の社説「世界遺産 複眼で歴史見る機会に」で、「朝鮮半島出身者が強制労働させられたさせられたのは史料などで分かっている」と言い放った過去がある。どんな資料があるんだ? 朝日の強制労働の定義って何だ?

朝鮮半島に「戦時徴用令」が施行されたのは昭和19年(1944年)。現在韓国で徴用工裁判の原告はみな応募工(出稼ぎ労働者)。こんな事実の中、朝日は何を以て「強制労働させられたのは事実」と書くのか。

元島民(日本人)は「差別や虐待なんかなかった」と口をそろえる。「朝鮮半島出身者が島のお祭りで民族衣装(チマチョゴリ)を着て、かけ声とともに輪になり踊っていた」と言い、「強制連行というのに、どうしてあんなもの(チマチョゴリ)を持ってきたのだろう。(日本人が朝鮮半島から)仕事中に引っ張ってきたとか、畑から駆り出してきたとか言っているのに。楽しそうに踊っていた」と不思議がる。

韓国が慰安婦に続く反日(もはやビジネスになっている)の材料に使ったこと、それを朝日やそのお仲間が応援したこと。これに尽きるだろう。応援と言うより「けしかけた」と言った方がいいかもしれない。

朝日新聞は、半導体関連3品目輸出管理強化では「取り消せ」、自衛隊の哨戒機に対するレーダー照射問題では「韓国側の訴えにも配慮すべき」などと、韓国を甘やかしつけ上がらせてきた。慰安婦捏造はその典型だ。

朝日の記事には「主張」はあっても「事実はない」。今回の件も「韓国が問題視する可能性もある」なんて書かないで、「発言は日本政府の捏造だ」「強制労働は否定できない」「韓国人労働者に賠償せよ」と書けばいいのに。

実は、そう書かないところが朝日の実態をよく表わしている。朝日は分かっているのだ。だからこそ、韓国をけしかける。朝日としては日韓関係は常に悪い方がいいのだから。

ところで、今回の件で共同通信は「過去の事実を覆い隠し、歴史修正主義を助長するとの批判を招きそうだ」と、とんでもない内容を配信した。共同も朝日と同じで「主張」はあっても「事実はない」。共同の言う「過去の事実」って何だ? 共同の配信記事は多くの地方紙にそのまま載っている。その分、朝日よりたちが悪いと言えるかもしれない。