朝日新聞に「ぼくはパチンコで救われた 編集者が語る『不要不急』」との見出しの記事があった。読んでみるとフリー編集者へのインタビュー記事。この方は「パチンコ必勝ガイド」の元編集者。

インタビューの前書きには、「世間の『不要』でも自分には『要』ということ、ないですか? エロやパチンコという『不要不急分野』における伝説の編集者に話を聴きに行きました」とある。

どうやら、このインタビューの聞き手で記事化した中島鉄郎は、パチンコを「不要不急」とは考えていないようだ。

もちろん中島が書くように「不要不急」は人によって違うだろう。パチンコが好きな人は、多少のリスクを負ってでも遊びたいという人は多い。だから営業しているパチンコ店に行列が出来る。

しかし自粛要請に従わないパチンコ店に批判が集まっている事実もある。それはクラスターへの懸念が大きいからだ。万が一の感染、そして他人への感染拡大の可能性を考えると「自己責任」では済まされないと思うが。

新型コロナ感染防止の観点からの各種自粛(要請)にも、人によって思いはいろいろある。当然と考える人もいれば、やり過ぎだと考える人もいる。そんな中、メディアの役割は感染防止のために自粛の意義をきちんと伝え、これ以上の感染拡大を防止するような報道をすることではないのか?

それなのに、逆にパチンコは人によっては「不要不急」ではないと読める記事を載せる。しかも編集者の「当時のうつ状態からパチンコで救われたと思っています。パチンコで借金をする人もいるでしょうが、パチンコのおかげで自殺せずに生きていられる人もきっといる」などと堂々と載せる。

平時ならパチンコをやることでストレス発散やら何やらで、こういう精神状態(良い方向という意味)になる人がいることは否定しない。しかし現在は非常事態だ。精神的に良い方向に向かったとしても、感染してしまったらそれ以上にダメージを被るのは目に見えている。

「不要不急」が人によって様々だと伝えたいのだとしても、この時期に「ぼくはパチンコで救われた」なとと見出しを付け、パチンコを取り上げる神経がまったく理解できない。別の思惑があるのではと勘ぐってしまう。と言うか、間違いなくあるだろう。

しかも中島はインタビューの中で「パチンコ必勝ガイドは一種のギャンブル雑誌」と、パチンコがギャンブルであることを認めている。

おやおや、「依存症がぁ~!」とあれだけヒステリックにカジノに反対している朝日が、ギャンブル依存症の多くを抱えるパチンコを「不要不急」も人によって様々だからと書く。なんというダブスタ。

新型コロナ感染防止の観点からも、カジノ反対とのダブスタも含め、非常に不適切なインタビュー記事だと思う(インタビューを受けた編集者の方は自分の考えや思い出を語っているだけなので、何の問題もないけど)。

感染拡大を防ぐため国民も協力し(結果的には自分のためでもある)、何とかこの難局を乗り切ろうとしている中、何を考えているんだ!