金融庁の「2000万円不足」報告書問題から、参議院選の争点は年金問題しかないような雰囲気作りに朝日新聞が一生懸命だ。

朝日は自社の世論調査では、報告書を巡る政府の対応に「納得せず」が68%、「年金改革は不十分」が72%だと、嬉々として伝えた。参院選の投票の際「年金問題を重視する」が51%に上り、年金問題が参院選の争点に急浮上したと言う(6月24日)。

これに気をよくした朝日は、第1次安倍内閣で自民党が大敗し、安倍首相退陣につながった2007年の参院選時の調査結果を持ってきて、「当時も年金問題を重視するが67%だった」と書き、「当時と状況が似ている」感を演出している。朝日とすれば「消えた年金」と今回の「2000万円不足」を同一視することで、何とか自民敗北への「風」を吹かせたいのが見え見えだ。

当時は「消えた年金」問題で、安倍内閣には逆風が吹いていた。まあ、これは自治労が自分たちの不始末を政権の問題にすり替えるため、ミスター無能に内部資料をリークしたことが本質。朝日はそのことを知っていたにもかかわらず、お仲間の自治労を守り政権攻撃に精を出した。何で年金が消えたかと言えば、自治労のずさんな仕事がすべての原因。本当ならこっちが責められてしかるべきだった。

話を戻すが、朝日は当時と状況がまったく異なる数字には触れない。当時の安倍内閣の支持率は28%、不支持率は48%(今回の調査では支持率45%、不支持率33%)、比例区の投票先(当時)は自民党19%、民主党25%(今回自民党40.7%、立憲民主党13%)。この数字は記事中に一切出てこない。

「年金問題を重視する」は朝日の思惑に近い数字が出ているので強調する。しかし安倍内閣支持率や比例投票先では、当時とまったく状況が違うことがバレるので、数字すら出さない。なんと姑息な! 日ごろから「不都合な数字をなかったことにする」などと安倍内閣を批判する朝日だが、自分も同じだな(苦笑)。

その後も朝日は社説や様々な記事で、「年金(社会保障)だ」「憲法改正ではない、年金だ」と一生懸命だ。哀れすぎる・・・。

そんな朝日の最新の参院選情勢調査では「自公、改選過半数の勢い」だそうだ。自民党の予測議席(中心値)は59。下限でも54。6年前は勝ち過ぎているいるので減ると言われているが、3年前の56程度の議席と予想している。見出しでは「過半数の勢い」となっているが、記事中では「大きく上回る勢い」。素直じゃないなぁ。

どうやら朝日の「年金問題が争点に急浮上」ってかけ声も、「普通」の有権者にはまったく届いていないようだ。一例を示したにすぎない報告書に大騒ぎしてみたけど、喰いついたのが左派野党とプロ市民のみだったというオチに気付いていないのか?