池袋で高齢男性の乗用車が暴走し、女性と3歳のお子さんが亡くなった事故は余りにも痛ましいものだ。あらためて、お二人のご冥福をお祈りするとともに、ケガをされた方々にお見舞いを申し上げます。(「池袋暴走事故に思う警視庁の思惑とメディアの弱腰」参照)

今回の事故では容疑者が逮捕もされずにいることに各方面から批判が出ているが、高齢者の運転問題もこれまで以上にクローズアップされるだろう。

杖をつかないと歩けない高齢者がクルマを運転する怖さを、同じような状態の高齢者はどう感じるか。多分、ほとんどの高齢者が「他人事」「自分は違う」と思っているのだろう。だからこの手の事故がなくならない。

同様に「特殊詐欺」が減らないのも、「他人事」「自分は違う」と思っている高齢者が多いからなのではと思ってしまう。もちろん、年齢だけで一律に評することが良いことではないと理解しているが、一般論として「高齢者」にありがちな面は否めないと思う。

高齢ドライバー意識調査
80歳以上の高齢者ドライバーの72%が「運転に自信がある」と答えている(MS&AD基礎研究所調べ)。なんと、年齢が上がるにつれ「自信がある」が増える傾向にある。

このアンケート結果には、ちょっと驚いている。当然、年齢を重ねるほどに運転歴は長くなるので、様々な経験を積み重ねている。でも「自信」が「過信」になっていないか。身体・反射神経・動体視力の衰えを自覚していると思うのだが。

認知症などの認知機能の低下も大きな問題だ。群馬県でも昨年1月、女子高生2人が高齢者(86歳)の男性が運転するクルマにはねられ、1人が死亡する痛ましい事故が起っている。検察は判断能力ありとし起訴したが、弁護側は認知機能の低下により判断能力がないと無罪を主張し争っている。

この被告は家族が運転を止めていたが、それを無視(わざと早く家を出る)し事故を起こしている。なかなか難しい問題だ。

高齢者は一般的に運転に自信を持っており、認知機能が低下するなどしても同様だ。さらには、運転すること(出来ることを示す)ことで、自分が正常だと誇示しようとする意識が無意識に働く。

よく言われることだが、事故が起きれば(起こせば)、加害側・被害側の両者の家族まで含めて不幸になる。自動車の安全運転対策も相当進んできているが、まだ「安全補助」に過ぎない。あまり好きではないが、何がしかの強制的な「規制」を考える時が来ていると思う。

併せて、自身も毎日クルマに乗っている現状から、十分気をつけようと思う今日この頃。