朝日新聞4月29日の社説「一帯一路 支配の発想は控えよ」を読んだ感想がタイトルだ。朝日新聞は中国が主導する「一帯一路」構想に日本も参加しろと言っている。朝日がどういう考えを持っていてもいいのだが、論理がしっくりこない。

朝日は「インフラ投資で、途上国を債務の返済不能に陥れるようなケースがある」「この構想が中国の強引な対外拡張路線の動きと重なって見えることだ」「南アジアでの港湾建設をめぐっては、軍事的な進出の足がかりにしようとしているのではないかとの懸念も強い」「地域の安全保障のバランスを崩すような行為をすれば、中国を含めどの国にも利益とならない」と書く。

その通りであって、朝日に異論はない。社説のタイトル通り「支配の発想は控えよ」だ。中国がやってきたことは「ヤミ金」そのものだ。甘い言葉で融資を行い、債務超過に陥らせ担保をぶんどる。スリランカでやったことなどまさにこれ(南部ハンバントタ港を99年間譲渡)。

それなのに朝日は、習近平が「各国の持続可能な成長の後押しをめざす考えを強調した」だけで、「日本も中国との協働を通じて、主体的に影響力を発揮できないか。新たな可能性を模索するべきだ」と、事実上の参加を促す。

習近平は何ひとつ具体的な改善案を示していない。批判に対して見せかけの「意気込み」を示しただけだ。たったこれだけのことで、中国を信用するのは朝日新聞とそのお仲間くらいしかいまい。

日本が出資すれば「一帯一路」の信用度は格段に増すだろう。それは中国の「ヤミ金」色を薄めたい思惑と一致する。ただそれだけ。中国の思惑に日本は利用されるだけ。

それならば、様々な実績があるアジア開発銀行の活動をより活発化した方が、各国への協力には良いものになるのは明らかだ。