7月4の早朝、中国上海で29歳の女性が「習近平の独裁専制の暴政に反対する!」と叫び、現場に貼られていた習近平のポスターに墨汁をかける様子を撮影し、ツイッターに投稿した。いわゆる「墨汁抗議事件」。

日本で「墨汁抗議事件」自体が何故か余り報道されていないし、ましてや女性がその後どうなったかも同様に報道されない。

女性は、その日の午後には自宅から警察に連行されている。女性のツイッターアカウントは削除され、もう見ることはできない。中国当局の処置なのは言うまでもない。さらには、この女性の父親も、支援者に匿われていたようだが、既に当局に拘束されている。別に父親が何をしたわけはない。ただ父親だといういうだけのことで。

おぞましい国だ。最高指導者に対して抗議をしただけで拘束される。抗議と言ってもポスターに墨汁をかけただけ。言論の自由もなければ、普通選挙の民主主義もない国。そういう国で権力者への抗議は命がけである。

翻って、日本でも安倍首相に対し「独裁者」「日本のヒトラー」などと揶揄・批判する勢力がある。抗議デモも頻繁に行われている。しかしそういう人たちが、それを理由に拘束されることなど絶対にない。それは日本が法治主義の民主主義国家だからだ。「言論の自由」もしっかりある。

もちろん、日本でもポスターに墨汁をかければ「器物損壊罪」で拘束されるかもしれないが、いいところ罰金刑だろう。

こういう日本に身を置き、各種の自由を謳歌しているその界隈の人たちは、得てして日本が嫌いのようだし、中国にシンパを感じているように見えるケースが多い。だからだろうか、そういう人たち(の一部?)は他人の言論を封じようとする。

気に入らない言動があると「差別」「ヘイトスピーチ」だと騒ぐ。本当に「差別」「ヘイトスピーチ」なら致し方ないが、そうかな? という場合が多い。自分たちの声は「抗議」だが、相手の声は「ヘイトスピーチ」だと言う。

自分たちは言いたいことを言うが、相手には発せさせない。言論機関を自称する新聞社が、その急先鋒なのだからしょうがないか。言論で勝負することのできない新聞社なんて、存在価値がないと思うけど。

指導者のポスターに墨汁をかけたくらいで逮捕され(器物損壊ではなく)、その父親に類が及ぶような国と、何をしようが(法律違反をしなければ)自由に批判できる国。

日本が嫌いな勢力が、日本の体制に守られているというおかしさ。自己矛盾とは思わないのかな。