日本陸連はリオ五輪のマラソン代表(女子)に、伊藤舞、福士加代子、田中智美の3選手を選んだ。
伊藤は昨年の世界選手権7位で内定を得ていた。福士は大阪国際で2時間22分17秒の好タイムで優勝。田中は名古屋ウィメンズで2時間23分13秒で日本人最高位の2位。まあ、今回は順当に選ばれたようだ。
増田明美も「今日、また『まさか』の結果が出たら吠えようかと思っていましたけど、今日は文句なし。順当な結果だと思います」と発言し、笑いを誘っていた。
この「まさか」の選考結果と言うのが、昨年の世界陸上代表選考にあった。代表は、
前田彩里 名古屋ウィメンズマラソンで2時間22分48秒で2位(日本人1位)
伊藤舞 名古屋ウィメンズマラソンで2時間24分42秒で3位(日本人2位)
重友梨佐 大阪国際女子マラソンで2時間26分39秒で3位(日本人1位)
ちなみに、選考で漏れたのが今回リオ五輪代表になった田中智美。その記録は、横浜国際女子で2時間26分57秒で優勝。
この選考結果に対して異議を唱えたのが増田明美。「優勝した田中さんには圧倒的な強さがあったと思う。これで本当にいいのでしょうか」
重友と田中が3番目を争ったのだが、陸連の田中評は「優勝は評価するが、田中選手の走りは世界と戦うという意味では内容は物足りないものがあった」「前半積極的じゃなかった」
ところが、実は今回の名古屋の方が前半のタイムは遅い。つまりは、「前半積極的じゃなかった」と評されたレースの方が早いのだ。結局は、その時のレース展開で前半ハイペースだったり、スローペースだったりいろいろある訳で、レース展開を言い出したら選手は可愛そうだということ。
最初から「日本人最高位狙い」みたいなレースをしている選手より、優勝を目指して走る方が価値が高いと思う。しかし、それは後半ばててタイムが落ちるリスクがある。結局、優勝しても選ばれない。
だいだい、3人選ぶのに4レースが選考レースって何?? 理由は簡単。選考レースにはそれぞれ新聞社・TV局がついており、カネが絡んでいるからだ。これが選考レースを減らせない大きな理由だ。絶対に「一発勝負」になんて出来っこない!
「各レースの記録や順位、レース展開、タイム差、気象条件を総合的に勘案し、本大会で活躍が期待されると評価された選手」という抽象的な選考基準でやっている限り、いつも揉めることになる。1992年のバルセロナ五輪選考の時から何の進歩もない。(この時は、松野明美が「あの」記者会見をやったとき)
今回のリオ五輪選考は選びやすかったと思うが、こんな選考法を取っている限り、次回以降またまた揉める要素満載だ。
1番の被害者は選手だということを陸連はしっかり考えないといけない。増田明美がいつも正しいとは思わないが、選手目線であることは確かだ。
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