以前「朝日新聞の典型的な記事」の中で、朝日新聞の印象操作について書いた。数字の出し方で、読み手側が受ける印象が大きく変わることを意図的に狙っている。

つまりウソじゃないんだけど、ニュアンスが全く違う記事に仕立てあげ、読者を朝日新聞の論調に同調させようという、非常に「せこい」手法。

4月17日の社説でも同じことをやっており、もう辟易してきた。

「秘密の監視 国会がやるのだ」という社説の中で、「全国100を超える地方議会が秘密法廃止を求める意見書を可決している」と、いかにも数多くの地方議会が特定秘密保護法に反対していると、朝日新聞は言いたいのだ。

「特定秘密保護法」を意図的に「特定」と「保護」を取って「秘密法」と書いていること自体が、既に印象操作なんだけどね。まあ、それは今回置いておくとして。

この社説で使った数字の印象操作は、4月6日の記事に既に仕込んであったもの。

「108議会『秘密法廃止を』」という見出しで、地方議会が特定秘密保護法の廃止求める意見書を可決したことを報じている。ほぉ、108「も」の議会が反対しているのか、って読者は思うかも。というか、それを狙っている。

じゃあ、日本に地方議会っていくつあるのか??2014年4月現在、都道府県は47、市が790、特別区23、町が745、村が183、合計1788の地方議会がある。つまり108議会だと、全体のわずか6%でしかない。

朝日新聞は108「も」と言っているが、実際には108「しか」ないのである。しかも地方議会がいくつあるかを明示せず、「108」という数だけを出してあたかも「多くの」議会が反対しているとの印象を、意図的に与えようとしているのは見え見え。

朝日新聞はご丁寧にも108の議会を一覧にしているが、これを見ると別のことも見えてくる。反対議会が多いのは、北海道、長野県、高知県、沖縄県の4道県。この4道県に集中していると言ってもいいほど。

この4道県を見てすぐに気づくのが、左派の強い道県だということ。北海道は旧社会党が強かったし、日教組もいろいろ事件を起こしているくらいいまだに力を持っている。高知県は共産党が小選挙区で当選者を出したことがある稀有な県(他は京都の1例のみ)。沖縄県はご存じの通り。長野県もいまだに民主党が幅を利かせている、数少ない県だ。

なんてことはない。特定の勢力が根を張っている道県だということ。

朝日新聞4月17日の社説に戻ると、100を超える議会が反対していることから「同法への不安が根強いこと示している」だそうだ。

地方議会がいくつあるかの総数を明示しないで、108という数字だけを出し「ねっ、いっぱい反対してるでしょ」「不安は根強いんだよ」と、読者を誘導しようとする朝日新聞の姑息な紙面作りの最たるもの。

しかも特定道県に集中していることには触れず、「同法を強引に成立させた政権への批判が地方にも根強く広がっている」と、こちらも印象操作を行っている。実際は、特定の勢力の強いところだけど。

朝日新聞の「印象操作」による誘導記事は日常茶飯事なので、もう驚きもしないが、特定勢力に属していない本当の「一般読者」の方が、変に誘導されないことを祈るばかりだ。