Xに「セブンの弁当と地元スーパーの弁当を比較検証した」というポストが流れてきた。
値段・容器形状(面積)などを比較、そして「すでに値段でスーパーの方が安い! ご飯はセブンの方が面積広いが薄くてスーパーの方は厚みがある! 食べ終わって並べたらセブンの容器は薄い! よく見るとセブンの方は中央が盛り上がって、やっぱり上げ底やってました!」と結論づけている(投稿は10月25日)。
セブンイレブンの弁当や飲料などの「容器詐欺」(疑惑)は有名な話。容器の上げ底は当たり前、飲料カップは模様で内容量が多いように誤魔化しているなど、数年前(もう4~5年か?)から言われている。検証記事や動画も数多くUPされている。
また何か新規の「詐欺的上げ底容器」商品でも発売されたのか? と見ると、ニュース記事が添付されている。読むとセブンの社長が記者会見で消費者を挑発したらしい(苦笑)。
質問者は週刊文集の記者。以下、質疑回答は要約記載。
文春「セブンの弁当は上げ底になり、容量が減っているとの指摘がある」
社長「本当にそうなってました? 上げ底になってましたか? 他と比べて本当にセブンイレブンが上げ底になっているのかって言うのをご覧になりましたか? なってませんでしょう?(笑)」
社長「電子レンジで温めたりするアレがありますから。多少は(傾斜が)ないとダメなんですよ。じゃあ、スーパーとか他のところ見てご覧なさいよ。どっちが上げ底かと」
社長「ルールで何パーセントって決まってるんですよ。だからそんな『あこぎ』なことはできないんですよ」
社長「いや、本当に比べてみてどうかっていう。実際比べて見てどうだったか」
社長「値段も含めてね。ネットに投稿する方は、本当に事実をもって投稿してほしいですね」
まとめると「容器詐欺」なんかしてない。他社やスーパーと同程度だ。きちんと比べてみれば分かる。ネットに投稿する際にはウソを書くな、と言うことらしい。この社長発言に触発された人が、冒頭の検証を行いXに投稿したようだ(この人以外にも複数の検証結果が投稿されている)。
過去の検証記事・動画などを見ると、明らかに「容器詐欺」との印象を受ける形状をしている容器が多い。弁当類だけでなく、飲料の容器も同様に「セコイ」色模様にしているとの指摘もあった。個人的にも「容器詐欺」的な印象を受けたこともあるし、「ステルス値上げだ」と感じたこともある。
これらは確かに見た目の印象であって、内容量や材料の質や味付けなど、総合的に判断しないといけないことだとは思う。
ただ、この社長会見で一番問題なのは実際の容器が上げ底かどうかではなく、消費者(つまりはお客さん)が「商品に満足していない」「残念だった」との感想を持っていることに対して「お前らの言ってることは間違いだ」「ウソを書くな」と、攻撃的に否定・反論したことだ。
もちろん、いわれのないクレームや誹謗中傷的なものを強く否定するのは構わない。しかし、この「容器詐欺」疑惑は多くの消費者が抱く商品に対する不満なのだ。つまりは消費者の「商品に対する期待値」よりも「実際の商品価値」が低いことを示している。それは「買って損をした」(少し言い過ぎかもしれないが)に繋がっている。
それなのに「他社も同じだ。良く見ろ!」では、消費者の不満は解消されない。社長が考えなければいけないことは、「容器詐欺」を否定しつつも商品に対する誤解を解き、消費者の理解を得る努力をすることである。
部下から適切な情報が上がってないのだろうが、リスクマネジメントとしても最悪の見本のような発言だ。消費者の商品への不満を真摯に受け止めるところからやり直さねばいけないだろう。こんなのが社長をやっているからか、セブンは2024年3~8月期連結決算で前年同期比34.9%減の大幅減益となった。他のコンビニ大手2社(ローソンとファミマ)は増益だ。
セブン&アイHDはコンビニ事業に集中し、社名も来年5月に「セブンイレブン・コーポレーション」へ変更するとか。だったら今のうちに、この社長切っておいた方がいいぞ(この社長はセブン&アイHDの専務で、セブンの社長)。