朝日新聞9月18日の社説「福島事故調査 原発規制に生かさねば」は、相変わらず東電を悪者にして原発廃止に誘導しようとする姑息な記事だ。朝日が原発廃止を社論にしようがどうでもいいのだが、事故直後から事実を都合よく曖昧にしてきた姿勢を今も続けている。

大きな事故を起こした福島第1原発はGE社(ゼネラル・エレクトリック)製だ。このGE製の原子炉にはベント設備がなかった。GEの原子炉は酷かった。様々な問題(原子炉の応力腐食割れ、シュラウド割れ、発電用タービン破損など)を起こし、それらをひとつひとつ対策していったのは東電と東芝だ。その過程でベント設備も付けられた。

朝日は事故直後、原子炉がGE製であることを知っていて書かなかった。ベント設備がなかったことを「日本では原子炉溶融は起きないという認識の甘さ」と東電批判の材料にした。ベント設備を付けたら付けたで、「海外の動きに押されて」やっと付けたと批判した。

朝日が原子炉がGE製だと書いたのは、事故2年後(2013年)だったと記憶している。このときもGEの責任逃れ発言を載せた挙げ句、「東電がいかに安全に無関心か」みたいな印象操作をしていた。

本当にどうしようもな新聞だ。この一連の記事を主導したのは竹内敬二(当時編集委員)。現在は退職し反原発活動に勤しんでいるようだ。

過度に東電を擁護するつもりはないが、GEから押しつけられた原子炉に安全対策(ベント設備含む)を施していったのは、実は東電(と東芝)なのだ。しかし朝日は原発廃止論への誘導策として、東電をことさら悪者にした。

今回の社説でも「ベント設備は電力会社が自主的に設けたものだ。その設計や施工に問題がなかったか、東電が事故対策の重要性を真剣に受け止めていたのか」などと書く。

ベント設備は東電が「自主的に付けた」ことは認めたが、その設計や施行、安全認識がどうだったのかなどとイチャモンを付ける。GEの欠陥炉(言い過ぎかな)への言及は一切ない。確かに東電の責任で動かしているので、東電の責任が減少するわけではないが、こういう東電の対策努力は認めないといけない。

事故の本質は外部電源の喪失で、設備の配置が問題だったことは周知のこと。この配置はGEの設計だ。本来なら原子炉の件も含め、GEをPL法で訴えてもいいくらいだ。しかし原子力賠償法に「電力事業者以外は賠償の責任はない」とあり、PL法の適用外となっている。

朝日はこのような一連の事実をすべて知っているくせに、「原発は危険だ」との世論形成のために、「東電の安全認識の甘さ」と批判を繰り返した。東電が表立って反論できないことを承知の上でのことだから、性根が悪いとしか言いようがない。

朝日は反原発記事でも様々なウソを書いてきた。非科学的なことをもっともらしく書き、風評被害を煽ってきた(と言うか進行形)。一部記者のSNSは酷いの一言。これらも含め、相変わらず自分らの思想のためには事実を歪める朝日の体質がにじみ出ている。

朝日新聞よ、事実を書け。そして事実に基づいて論調・論評せよ。世論を誘導するなどとの傲慢な心を持つな。謙虚になれ。記者連中も勘違いするな。お前らはただの民間会社の社員でしかない。自覚しろ。

蛇足だけど、原発事故直後鼻血を出していた山本太郎や雁屋哲、井戸川克隆(元双葉町長)などは、現在もお元気のようで何よりです。