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富岡製糸場と絹産業遺産群として世界遺産に登録された「富岡製糸場」。非常におめでたいことで、群馬県民としても喜ばしいことだ。

そんな富岡製糸場の入場料が、来年4月から値上げになる。富岡市・岩井市長が、現行500円(大人)を1000円程度にしたいと明言した。理由は保存整備の「協力金」として500円程度を上乗せするから。

富岡製糸では、保存修理作業が30年計画で進行中だ。世界遺産にも登録され、その価値が再認識されている現在、来場客から「協力金」を得ようとする発想は理解できるが・・・。

保存修理に見込まれる金額は100億円。国と県が75%負担するので富岡市は25%の25億円準備しないといけない。

現在の入場料500円の中の250円は、既に保存修理のための基金として積み立てている。これらは早急に対策が必要な安全面などに使って行かねばならないので、別に「収入」を得たいということだ。

今年度の入場者数は10月時点で約80万人と、昨年度の約31万人を大きく上回っている。2倍以上!!このままいけば100万人を超えそうだ。群馬県民もちょっと驚き。世界遺産効果ってすげえなぁ~。仮に、年間100万人の来場者があれば、協力金は5億円集まる計算。

これなら25億円くらい、すぐに集まりそうだが。残念ながら、そうはいかないと言うのがオレの読み。

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オレは2010年に行ったけど、はっきり言って・・・だった。
(「日本で最初の富岡製糸」参照)
とにかく見るところがない。東繭倉庫の外観と明治5年のレンガくらい。

ボランティアの解説を聞きながら周っても、解説8割、見学2割。自分で周ると10分で見終ってしまう程度のエリアしか見られない。

多分入場者数は今年がピークだろう。そして、昨年並みにすぐに戻る。見学コースの拡大などをしなければ、もっと減ると思う。世界遺産効果もあっと言う間になくなる。

保存修理のための費用を賄わなくてはならないのは言うまでもない。来場客から、さらに「協力金」を取るのもいいだろう。でも500円は取り過ぎだ。すでに250円取ってるんだから、合せて750円になる。

ついでに言うと、リピーターはまったく見込めない。誰でも思う、「1回来れば十分」。それに追加して、来年4月から「1000円は高いね」という感想がつくことになると思う。

来場者が多いうちに、いっぱい集めておこうという発想もいいけど、世界遺産効果が薄れても、来場者をある程度維持するための施策をしっかり考えた方がいい。

個人的には、まずはブリューナ館、工女館の見学コース追加は必須。東繭倉庫内に博物館的なものを作る。なんなら、「日本絹の里」をそのまま移す。西繭倉庫内をホール化し、コンサートなどを可能にする。

と書いてはみたものの、金だけかかって集客は見込めないかな。

*日本絹の里
 「繭と生糸は日本一」参照